メンバー紹介

患者さまを一番に考え、覚悟とともに寄り添う。

わかったつもりにならずに、良いときも悪いときも、最後まで支えたい

この仕事には⾊々⼤変なこともありますが、やはり「ありがとう」と⾔っていただけると、とてもやりがいを感じます。先⽇ある患者さまが亡くなられた後、ご家族がわざわざ「あなたがいてくれて、本当によかった」とご挨拶に来てくださいました。患者さまだけではなく、ご家族のこともしっかり⽀えることができた、それは私にとって⼤きな前進でした。それに悪いときはもちろんですが、治療の効果が出ているとか、健康な⽅に対しての未病・健康サポートなど、“良いとき”にも寄り添える薬剤師をめざしています。

私⾃⾝、⼩さい頃から病気とともに薬の副作⽤にも悩まされたので、患者さまの気持ちがわかる医療従事者になりたいと思っていました。ただ、⼈それぞれに背景が違う。その状況に置かれないとわからない気持ちってあるんですよね。私も患者側の⽴場から、相⼿と100%同じ気持ちになることはできないと経験してきたはずなのに、わかった“つもり”になってしまった時期がありました。相⼿と全く同じ気持ちになることはできない。でも理解しようと努めることや共感することはできる。それが「寄り添う」ことだと思うんです。「寄り添う」ということは、患者さまの気持ちを受けとめ、そして最後まで⽀えることなので、実はすごく覚悟が必要なこと。その⼤切さに気付けたのは、⾃分にとって⼤きな成⻑だったと思います。

特に気を付けているのは、患者さまのお話の奥に何があるのかということです。その背景に思いを馳せ、お気持ちに⽿を傾け、患者さまの最も伝えたいことが何かを探しながら話を伺うようにしています。それは「思いや⽣活状況を細部まで想像しながら話を聞く」という、かくの⽊の⾵⼟があってこそ得られた視点。ある意味では⼈との付き合いかたの基本ですが、今の多忙な医療機関では希薄になりがちな部分かもしれません。⼀番印象に残っているのはクレームから始まった⽅で、よくよくお聞きすると、その根元にあったのは医療への不安や不満だったんです。1時間ほどお話しした後、⼀⼈の薬剤師がしっかりフォローすることで何か変わるかもしれないと思い、私がその⽅を担当させていただくことにしました。その後、治療にも前向きになって、最終的には「あなたしか頼る⼈がいないの」と薬や体調の相談の電話をかけていただける関係になれました。残念なことに最近亡くなられてしまったのですが、そこに⾄るまでずっと関われた、最初に顔が浮かぶ⽅です。

揺らがない“患者さまファースト”、そして医療と介護の連携の強さ

かくの⽊には、「患者さまのことを第⼀に考えて⾏動する」という理念があります。ですので、薬剤師の視点で不安のある患者さまがいたら、まず家に⾏く。⽣活を拝⾒する。そうすると外からは⾒えなかった問題が⾒えたり、家だと素直に話してくださることもあり、薬局でお話しするだけではわからなかった新たなアプローチ⽅法が⾒えてきます。「患者さまにとって、今⼀番必要なことは何かを考えて⾏動しなさい」と、代表や管理者に教えられて育ってきましたし、これがかくの⽊の⾵⼟なのだと思います。この⾵⼟は下の世代にも伝えていきたいと思っています。

そして周囲がそれを“やって当たり前”と受けとめてくれて、⾃分がいない間の店舗業務をサポートしてくれる。スタッフ間の連携も密ですね。私も今ちょうど後輩から事例相談を受けて、「じゃあまずケアマネジャー、あるいは⾼齢者相談センターや包括⽀援センターに電話してみたら」などのアドバイスを⾏っているところです。上の世代から伝えてもらった経験を、下の世代へ繋ごうとする意識が⾼いですね。スタッフも全員が⾃⽴して動けるし、「⾃分たちが事業所を作っているんだ」という思いがとても強くて、そこも本当にかくの⽊らしさだと思います。

かくの⽊のもう1つの強みは、社内で医療と介護の連携がはかれることです。また、新座市内での連携もしっかりしているのでトータルで患者さまを⽀える体制があります。患者さまが困っているとき、もちろん医療の⾯でサポートはできるのですが、特に⾼齢の⽅はそれだけでは限界があります。⽣活を⾒てくれる存在、つまり介護サポートが必要で、そこにスムーズに繋げるノウハウと他の事業所・施設との連携実績がある。例えば以前、新座市で暮らしている親族と同居するため、他の市から転居されてきた⽅がいらっしゃいました。その⽅の介護についてかくの⽊に相談したら、医療と介護の各部⾨が⼀気に動いて、その⽅を⽀える環境が2〜3⽇で出来上がったという話もありましたね。相談を受けたらパッと全部できる。介護に繋げる発想と選択肢をちゃんと持っていて、何かあったら「すぐ連携してやってみましょう」と動ける。かくの⽊が30年かけて築いてきた⼟壌があるからこその強みだと思います。

暮らしに最も近い医療の場、そして顔が見える薬局を目指して

今後、薬局は待っているだけじゃダメになると思っています。今は、処⽅箋がないと薬局に⼊りづらくないでしょうか?だからもっと⾝近で、気軽に⽴ち寄れる場所にしたい。例えば少し体調が悪いときや、健康診断で検査値がちょっとだけ⾼くて⼼配なときなど、病院に⾏くほどでもないけれど⼼配……というときにカジュアルに利⽤してもらえる薬局にしたいんです。

そのためには、まだ病気になっていない“未病”の状態をどうフォローしていけるか、ということも重要になってきます。「微熱ぎみなんだよね」などのちょっとした健康相談はもちろん、眠りの測定とアドバイス、⾻量測定と連携した栄養相談や⾷事指導、物忘れ相談などの新しいプロジェクトを⽴ち上げました。どれもが現場からの提案で実現したものばかりです。今後は、カフェ併設の薬局や、薬の待ち時間に軽い運動ができる⾼齢者向けのジム併設薬局など、もっと幅広くチャレンジしていけたらと思います。私の野望ではありますが(笑)、そんなプログラムも考えていきたいです。

そして薬剤師全員が、顔が⾒えてかつ信頼を得られる存在となることが、今最も重要で基本的なことだと思っています。患者さまに対しては当然のこと、⼀緒に医療を提供する医師や看護師、ケアマネジャーやヘルパーからも顔が⾒えて気兼ねなくコミュニケーションが取れる信頼関係を築いていく。そうすれば患者さまや医療者から「かくの⽊って、あの薬剤師この薬剤師がいるよね」「顔を知っているからやっぱり安⼼だし、相談をしよう」という存在になっていく。あの⼈に相談すれば、地域のこともよく知っていて、良い提案やアドバイスがもらえる、そんな頼られる薬剤師じゃないといけないな、と思っています。だから患者さまにも、もっと薬剤師を利⽤してもらいたい。薬局が気軽に相談できる場だとまだまだ知られていないので、「薬をなぜ⾷前に飲むんだろう」とか、ちょっとでも疑問に思うことがあればその場でも、あるいは思った瞬間に電話していただいて全然構いません。薬のことならまず薬剤師に、もっと薬剤師を使ってほしいと思っています。

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