メンバー紹介
「福祉⽤具専⾨相談員」という職種は、要介護者の⽅に適切な福祉⽤具を提供したり、住宅改修をご提案する仕事なのですが、⾃分のアイデアを実⾏に移せる場⾯が多い点に魅⼒と奥深さを感じます。例えば住宅改修では、オーダーメイドのように家の状況やご本⼈の状態に合わせてプランを練っていきます。⼿すりの設置を例に挙げると、利⽤者さまの多くは「ここに付けたら良さそう」と、設置場所しかイメージされていないことがほとんどです。そのため、「こういう形状で設置すると、動きがすごく楽になりますよ」など、使い勝⼿に合わせた提案を⾏います。それを快く受け⼊れ、かつ⼯事後の仕上がりをとても喜んでくださる⽅が多いのは、嬉しいかぎりです。
福祉⽤具のオーダー時も、ご指定のものが本当に使いやすいのどうかは実物がないと判断が難しいため、実際に使ってもらいながらご本⼈の希望とすり合わせていく作業が⽋かせません。さらにケアマネジャーや、理学療法⼠、作業療法⼠、ヘルパーなど他職種が同時に関わることが多く、各専⾨職との連携や調整が求められる仕事でもあります。特にケアマネジャーと関わることが最も多いのですが、⾃分より上の世代が多く、彼らの仕事の進め⽅や⼈との接し⽅は参考になるし、学ぶところが多いですね。あと私たちは仕事として関わらせていただいているにもかかわらず、利⽤者さまから感謝していただく機会が多いことも、この仕事の魅⼒だと思います。
利⽤者さまとの思い出はたくさんあります。前回訪問から半年経っていても覚えてくださっている⽅がいて、嬉しく思ったこともあります。また、以前近所のグループホームに研修に⾏って⼊居者さまと⼀緒に過ごしたことがあるのですが、そこの利⽤者さまでお話し好きのおばあちゃんが、⼀⼈でかくの⽊⽤品館まで散歩に来られることがありました。かなり認知症が進⾏していたため、私の名前まではお分かりにならなかったのですが、お会いすると「あんたどっかで⾒たことあるね」と覚えていて、⾊々話してくださいました。同じ話の繰り返しも多かったですが、認知症の⽅との会話や接し⽅などを学ばせてもらいました。なにより覚えていてもらえた、来るたびに声を掛けてくれるというのが嬉しかったです。
地域で他職種の⽅と協働する際に、とてもありがたいことなのですが、こちらの提案や意⾒をしっかり聞いてもらえていると感じることが多くあります。これまで⻑く地域に密着して事業をやってきた実績や信頼が影響しているのかな、と思います。話の通りやすさや連携の取りやすさも感じますし、何より最初に接点を持つ段階から名前を知っていただいていることは、⼤きなアドバンテージだと思います。薬局・⽀援事業所・⾼齢者相談センターなどのサービスを通じてかくの⽊の名前を⾒聞きするうちに、堀ノ内病院や⾏政との繋がりを知り、好印象を持ってくださることもあります。福祉⽤具貸与・販売の業界では誰でも知っていて知名度がある会社が少ない反⾯、地域でのかくの⽊の知名度や、地域の他事業所との連携の深さが安⼼感と信頼感に繋がっている気がします。
また、かくの⽊⽤品館には⻑年勤めるスタッフが多く、それもお客さまの安⼼感の源になっているのではないかと思います。⼈の⼊れ替わりが少なく、20年以上働いているスタッフもいますし、私も12年勤務しており、他にも5年以上働くスタッフが複数名在籍しています。そして皆が継続して経験を蓄積し、信頼を積み重ねることができていると思います。特にケアマネジャー視点で⾒た際に、同じ担当者がずっと在籍していることで、より安⼼してお声がけをいただけているのかもしれません。地域からの信頼を裏切らないように、丁寧で誠実な対応を、これからも⼤切にしていきたいと思っています。
さらに今後、私たちの強みとして打ち出していきたいのは、⼀⼈ひとりのスタッフが⽐較的裁量を持って仕事をしていることもあり、お客さまのご要望に柔軟にスピード感をもって対応できる点です。例えば、利⽤者さまが退院する際に、ご⾃宅に介護⽤のベッドを急ぎ⼿配する必要があったのですが、ケアマネジャーとも連携し迅速に納品できたことで、驚きをもってお礼のお⾔葉をいただけたこともありました。私⾃⾝、裁量を与えてもらっていることで、⾃分⾃⾝の仕事にもやりがいを感じられていると思います。⾃分のペースで仕事ができることもありますが、⾃分のアイデアを⽣かしやすく、⾃分で考えて提案することができるからです。スケジュール管理など⼤変なことも多く、責任も⼤きいと感じますが、柔軟性とスピード感を持って対応し、お客さまに喜んでいただけたときは、最も達成感を感じます。
現在のかくの⽊⽤品館の主要業務は介護保険を使った福祉⽤具のレンタル・販売ですが、社会保障削減の流れで制度が変わる可能性があり、先⾏きは不透明です。⼤きな変化が訪れる前にレンタル以外のアプローチ、例えば中古販売や、ちょっとしたお困りごとに対応できるサービス業なども考えてみたいと思っています。介護保険のサービスとも近く、困っている⽅を制度に縛られずお⼿伝いできる仕組みが良いと思います。
業務中に利⽤者さまから、パソコンを⾒てほしいとか、布団を上まで運びたいなど、ちょっとしたご依頼をいただくことが多くあります。ベッドを搬⼊しに⾏くと、「ベッドを置くスペースを作るために、まず荷物をちょっとずらしてほしい」とお願いされることもしばしば。もちろんできる限り対応していますが、できないことも多いですし、時間的にも限界があります。介護保険ではそうした細かい部分まで対応することが難しいため、独居の⽅やご家族が遠⽅にいて頼みづらい場合のフォローや⼿助けになれるサービスを実現できればと思います。さらに私たちの⼿にあまるような電気や⽔道⼯事等の専⾨家と連携できれば、⾊々なサービスが繋がってより利便性が⾼まるでしょうから、そこまでいけたら理想的ですね。
今後の課題として、他社との差別化が挙げられると思います。どの福祉⽤具事業所であっても扱っている⽤具に⼤きな違いはありません。住宅改修も、素材などに違いはあれど、できることは⼀緒なので商品・サービスで差別化するのが難しい。昔からやってきた歴史や知名度以外の強みとなる新しいサービスを提供し、その価値を発揮できるといいですね。ただ、企業として⼀番⼤事にしないといけないのは、やっぱり信頼され続けることです。それがあれば、⾃然と利⽤者さまや取引先に選んでいただけるはず。信頼を無くすことのないように積み重ね、より広げていきたいと思っています。